破産をする際,取引先への支払いをすると偏波弁済になるため,取引先への支払いをするということは認められないということになります。
破産手続き上,債権者の債権について,法律上の優劣関係が規程されています。
法律上優先する債権として,税金,従業員の給料,退職金等があります。
これに対し,取引先からの仕入れについて,銀行等の他の債権者と同じ,一般の破産債権という扱いになり,他の債権に先んじて支払いをしてもよいという法律上の根拠がないため,取引先のみを優先して扱うと,偏波弁済として,破産法上,認められないことになります。
もっとも,破産を決断するまで,取引先に支払いをしないと,商品を仕入れられず,結果的に,取引先への支払いを継続した後,やはり事業の継続が難しいと判断し,自己破産に至った場合のように,微妙なタイミングの支払いをいうこともあり得ます。
ただ,破産という方針を決定した段階以降の支払いについては,やはり認められないため,線引きをきちんとしておく必要があると言えます。