自己破産,破産条件

 

破産とは,裁判所へ破産申立てを行い,法人,事業主が所有している財産をすべて現金化し,債権者へ,債権額に応じて配当を行う手続きをいいます。

ただ,法人,事業主によっては,財産がないというケースもあり,このような場合,裁判所で財産の有無を調査してもらいますが,最終的に配当できる財産がないということで,無配当で終わることも少なくありません。
 
法人の破産とは破産手続きを行うことになった段階で,それまで行っていた事業をすべて停止することになり,また新規の仕事の発注を受けることもできなくなります。
そして,事業を停止するため,法人,事業主の従業員がいれば,破産手続きを行うことになった段階で,解雇という形で辞めてもらう必要があります。

破産ができる条件(破産原因)について,法人の場合,支払不能,及び債務超過の2つがあり,個人の場合,支払不能があります。以下で,支払不能と債務超過について,個別にご説明致します。

支払不能とは

支払不能とは

支払不能とは,債務者が弁済能力欠乏のため,弁済期が到来している債務について,一般的,かつ継続的に弁済することができないと認められる客観的状態をいいます。

意味内容について,個別に解説しますと,

1 対象となる債務は弁済期が到来している債務をいい,将来履行期が到来する債務について、弁済できない場合であっても,支払不能にはなりません。

2 一般的というのは,個々の債務が支払えないのではなく,全体的に支払えない状態であり,継続的というのは,一時的な資金不足の場合は除かれます。

3 支払不能の判断において,財産に加えて,債務者の信用,労力をも総合して判断することになります。

4 支払不能は,客観的な状態であるため,債務者の主観的な判断や行為とは別問題になります。

支払停止とは

以上のとおり,破産原因である支払不能とは,債務者の客観的な状態であるため,外部からの判断が困難になる恐れがあります。

そこで,破産法は,破産原因である支払不能を推定する支払停止という概念を規定しました。すなわち,支払停止があれば,支払不能が法律上,推定されることになります。

支払停止とは,弁済すべき債務について,債務者が弁済能力欠乏のため,弁済期が到来している債務について,一般的,かつ継続的に弁済することができないことを外部に示す債務者の主観的な行動をいいます。

例えば,弁護士の受任通知,手形の不渡り,廃業,夜逃げ等が挙げられます。

すなわち,法人,事業主の債務が多くなり,弁護士へ,自己破産の依頼を行い,弁護士から債権者へ受任通知を発送した段階で,支払停止になり,法律上,支払不能が推定され,自己破産の条件(破産原因)を充たすという扱いになります。

債務超過とは

もうひとつの債務超過とは,バランスシート(貸借対照表)上の計算において,負債の方が資産を上回っているという状態をいいます。

現実的に,債務超過であっても,資金繰りが回っているのであれば,破産をする必要がなく,法人の破産を検討しないといけない状態というのは,支払不能であるといえます。

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