破産時点において,法人の銀行口座に残っているお金について,自由に使うことはできません。破産法上,使途に制限がでてきます。
まず,法人の銀行口座のお金について,代表者が自分の生活費に充てるようなことはできません。なぜなら,法人と代表者は別の法人格であり,法人口座のお金は法人のものであり,代表者が私的に使うことができるものではないからです。
次に,法人の銀行口座のお金から,破産申立ての弁護士費用をお支払い頂くことは問題ありません。破産申立ての際,弁護士へ依頼をしないと申立てを行うことが困難ですので,必要経費として認められます。
注意点として,法人の銀行口座から,法人の破産申立費用のみならず,代表者の破産申立費用も捻出してもよいかという問題があります。厳密にいうと,法人の費用は法人から,代表者の費用は代表者から,ということになります。
さらに,法人の銀行口座から,従業員の未払給与の支払いを行うことや,法人の税金を支払うことは問題ありません。
加えて,店舗,事務所,工場,倉庫等の明渡しの際,原状回復をしないと明け渡したことになりませんので,例えば,借りた土地の上にプレハブの事務所を設置しているような場合,プレハブの解体費用として,法人の銀行口座から支払いを行うことに問題はありません。